ざくろ(伝道所掲示板より 2020年9月1日)
口あいて腸(はらわた)みせる柘榴(ざくろ)かな 芭蕉翁
(「自序に代ふ」内村鑑三『求安録』)
* * *
口を開いたざくろの実は、どこを向いているか。
神である。
己の罪のままの腸(はらわた)を見せたまま、神に向かう。
我も斯くなる実の如し。
罪の身のまま、ざくろの如くに腸をむき出しにしたまま、神の方を向く。
むき出しのまま、十字架を仰ぐ。
もし神がおわさなければ、死んでいるかもしれない。
十字架上で我が罪を赦し給う神が私にはおられるので、死なないでおれる。
然らば我は何なるか、
夜暗くして泣く赤子、
光ほしさに泣く赤子、
泣くよりほかに言葉なし。 (『求安録』)
( 2020年9月1日)